【2022年春ドラマ】データで語る! ドラマ好き社員による初回放送分析

ゴールデンウィークが明け、春ドラマがようやくすべて出そろいました。フジテレビの月曜22時にドラマ枠が新設されるなど、今季も話題が豊富です。

今回は男女、年齢も多様な4人のメンバーで座談会を実施。日ごろ、テレビが「視聴者からどう見られているか」について、視聴態度や視聴中の行動をデータに基づき分析している面々で今季の人気ドラマランキングを分析してみました。

 参加者プロフィール

荒/営業
ほぼ全作品見ているのでは、というほどあらゆるドラマをチェックしている。自他共に認めるドラマオタク。データに対してユーザー目線で解説。

小坂/営業
「自分もドラマについて語りたい!」と今回初参加。広告会社勤務時より民放中心に毎クール10本以上のドラマを視聴。独自の見方で、ドラマの面白さを分析。

佐野/広報
TVISION INSIGHTSの広報担当。自身も生粋のドラマ好きで、とくに韓流作品にハマっている。イチ押しは『スタートアップ』『ピノキオ』『椿の花咲く頃』など。

石川/司会 エディター
9歳からドラマオタクの道を爆進し、大学ではテレビドラマ研究を専攻。IT、マーケティング、作品分析と三分野からドラマを読み解くのが得意。今期は『インビジブル』『マイファミリー』に注目。

コラムで使っている指標について

注目度とは、テレビの前にいる人がちゃんとテレビを見ている割合を測る指標を指します。例えば注目度50%は、仮に100人がテレビの前にいたら、50人がちゃんとテレビを見ていたということを表します。
※初回放送のみ計測。

※ドラマのネタバレに関わる内容が含まれます。ご覧の際はご注意ください。

目次

1位は『インビジブル』。異色バディのドラマが上位に

──今クール初回放送、注目度1位は高橋一生さん×柴咲コウさん主演の『インビジブル』でした。

荒:刑事と犯罪コーディネーターがバディとなって、凶悪犯を見つけ出していくサスペンスですね。高橋さんと柴咲さんは大河ドラマ『おんな城主直虎』以来の再演という話題性も注目度が高まった理由の一つだと思います。

このドラマは全体を通して注目度が高い点が特徴的なんですが、その理由はメリハリのきいた構成にありそうです。大きい音や動きの激しいアクションシーンで視聴者の視線を引き付け、その一方で柴崎コウさん演じる犯罪コーディネーター・キリコの登場シーンでは急に音を抑えて静かになります。

こうした音の強弱や、画面の明暗の変化で視聴者は画面に目を向ける傾向があるので、ストーリーはもちろんですが、画面作りや音作りも視聴者の注目を集めた理由だったのではないでしょうか。

小坂:刑事ものではありますが、ダークヒーローという設定は珍しいですよね。

佐野:確かにそうですね。ミステリーやサスペンスという意味では、『元彼の遺言状』『マイファミリー』もそうですよね。

小坂:『元カレの遺言状』は綾瀬はるかさんと大泉洋さんによる、弁護士×作家志望の男性というバディもの、『マイファミリー』は二宮和也さんと多部未華子さんが夫婦で事件に挑む、これも変形ではありますがバディものと言っていいかも知れませんね。

荒:確かに……! 夫婦もバディの一つの形と捉えると、豪華キャストでストーリーが濃厚な「異色バディ」ものの大作が上位に入っていますね。

『マイファミリー』については、これまで「お仕事ドラマ」が多く、M層(男性視聴者)の注目度があがりがちなTBS日曜劇場の中で、F層(女性視聴者)の注目度が高かったのが印象的でした。

佐野:『インビジブル』『元彼の遺言状』『マイファミリー』のいずれも、TBS金曜ドラマ(金10)、フジテレビの月曜9時(月9)、日曜劇場と視聴者からの期待が高い人気枠ですね。

人気作のストーリーに変化? 序盤で「謎」が解決する傾向に

小坂:『マイファミリー』『元彼の遺言状』『未来への10カウント』を見ていて思ったのですが、この3作は従来のテレビドラマのセオリーとストーリー構成が異なるような気がするんですよね。

──と言いますと?

小坂:2010年代までって、ドラマ全体を通じて大きな「謎」を解いていくプロセスを見せるのが主流でした。初回で示された「謎」が、最終回まで続いていくのが一般的だったと思います。

佐野:最近でも『ミステリと言う勿れ』や『インビジブル』はその構成を踏襲していますね。

荒:3カ月を通して大きな1つの謎を解きながら、各話のエピソードがオムニバスのように入ってくる構成も多いですよね。

小坂:ところが、『マイファミリー』『元彼の遺言状』『未来への10カウント』は、誘拐事件や、故人の残した遺言状の真相といった本来、3カ月かけて解くはずの「大きな謎」が2~3話で一度解決してしまいます。そして次の回からは別のストーリーが始まっているように見えます。

荒:こうしたストーリー構成の変化も、「ながら視聴」が増えてドラマにわかりやすさを求める昨今の流れを汲んでいるのかも知れないですね。

リバイバル作に注目するアラフォー、ネタバレサイトを見るZ世代

──『悪女(わる)』や『金田一少年の事件簿』など、アラフォー世代には懐かしいドラマも今作は多いですね。

佐野:今田美桜さん主演のフジテレビ『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』は1992年に石田ひかりさん主演で制作されたドラマのリバイバルです。

『金田一少年の事件簿』は、1995年に堂本剛さん主演で制作されて以来、松本潤さん、亀梨和也さん、山田涼介さんとキャストを変え、30年近くにわたって放映されてきました。今回の主演は道枝駿佑さんです。

──『金田一少年の事件簿』については中学生のときに第1シリーズが放送されていて毎週楽しみに見ていた記憶があります。

荒:『悪女(わる)』については、テレビをそもそも持っていない人も多いM1(20‐34歳男性)層と、恐らく90年代版を見ていたのではないかと思われるF3(50歳以上女性)層の注目度が高いのが特徴的です。M1層については、今田美桜さんファンの視聴も多かったのではないでしょうか。

1話では、1992年版で主演を務めた石田ひかりさんが人事課長役で特別出演したことでも話題になりました。『金田一少年の事件簿』も、第1シリーズからのファンではないかと見られるF2、F3層の注目度が高い傾向にあります。

佐野:今シリーズの金田一一(はじめ)くんは、歴代の主役とはひと味違ったコミカルなキャラクターである点も、新鮮ですよね。

小坂:僕としては、『ナンバMG5』と『未来への10カウント』も外せないですね。『ナンバMG5』は、2000年代に青年誌で連載されていた漫画が原作です。主演の間宮祥太朗さんは映画『闇金ウシジマくん3』やドラマ『僕たちがやりました』『べしゃり暮らし』などでのアウトローな役が凄く良かった印象があります。

今作も「筋金入りのヤンキー一家に生まれた」という設定で、間宮さんのハマり役だと思います。それに、主人公一家のキャラクターが濃すぎたり、毎回派手なアクションを交えたケンカのシーンがあったりするなど、視聴者が画面に注目しそうな要素も満載です。

僕は属性でいうとM2にあたるアラフォー男性なんですが、木村拓哉さんが高校のボクシング部コーチに扮する『未来への10カウント』は、かなり心をくすぐられましたね。『ロングバケーション』や『ビューティフルライフ』を見ていた世代なので、木村拓哉さん×主題歌がB’zという作品は、否応なしにテンションが上がります。

──このドラマは脚本が『HERO』や『CHANGE』など木村拓哉さん主演作を多数手掛けた福田靖さんだからこそ、より一層木村さんの魅力が引き出されているのかも知れないですね。

佐野:その要素も多いですよね。一方で、Z世代の中には「心が疲れるから」という理由で、ネタバレサイトを読んだり、結末を人に聞いたりしてからドラマを見るという人が一定数いるという傾向も、各種リサーチでわかってきています(※1)。

※1参考:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94470?page=3

──アラフォーはリバイバル作に注目し、Z世代はわかりやすさや「心が疲れない」ことを重視するわけですね。

女性人気のドラマからは「推し」に癒やされたい心理が垣間見える

──年齢・性別問わず広い世代に注目され、全体順位が2位の『正直不動産』はいかがですか?

佐野:『正直不動産』は、山下智久さん3年ぶりの主演作ですね。推定視聴率はそれほど高くないのですが、注目度が非常に高くなっております。絶対に嘘がつけない不動産会社の営業が、顧客の抱える様々な問題を解決する痛快さが好評でSNSでも話題です。

荒:テンポの良いストーリー展開と、濃いキャラクター設定が肩の力を抜いて22時台に見るにはちょうど良いのではないでしょうか。前クールでも安田顕さん主演の『しもべえ』が同様に、全年代から広く支持を得ていました。

──脚本の根本ノンジさんは山下智久さん主演の『5→9〜私に恋したお坊さん〜』や、テレビ東京系の30分ドラマ枠『ドラマ24』『ドラマ25』でテンポの良いドラマを多数手がけてきた方ですね。『フルーツ宅配便』や『サ道』なども根本さんの脚本です。

荒:あっという間に見終わってしまうくらいテンポが良いと、画面への注目度も高くなるのかも知れないですね。山下さん扮する主人公が嘘をつこうとすると風が吹くなど、音とビジュアルを生かしたドラマ作りも注目度の高さにつながったのだと思います。

──女性ランキングについてはいかがですか? 共通点はありそうでしょうか。

荒:松下洸平さん主演の『やんごとなき一族』、上野樹里さん主演の『持続可能な恋ですか?』、広瀬アリスさん主演の『恋なんて、本気でやってどうするの?』は女性人気が高いですね。

佐野:いずれも近年の朝ドラやヒット作で人気急上昇中の俳優陣がキャスティングされています。松下洸平さん以外にも、『持続可能な恋ですか?』には田中圭さん、磯村勇斗さん、『恋なんて、本気でやってどうするの?』は松村北斗さん、岡山天音さんですね。

荒:これらはどれも22時台のドラマなので、在宅勤務中の方々も仕事が終わって食事や入浴などの用事が終わった後に見ているのかも知れません。

自分の「推し」が出ているドラマを熱心に見ている傾向が透けて見える気がしました。すばやいストーリー展開やテンポ感で押していく作品ではなく、人間関係や心理描写をじっくり描いている点が共通しているように感じられますね。

──ストーリー展開、画面作りや音作り、年齢層などどのようなドラマが見られるかについては多様な視点がありますね。今季のドラマもこれからのストーリーが楽しみです!

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