【2022年冬ドラマ】データで語る! ドラマ好き社員による作品傾向分析

掲載日:2022年3月2日

2022年も早2カ月がすぎ、大河ドラマや新ジャンルの月9、新しい放送枠などで次々と話題作がスタートしています。多くのドラマが3月のクライマックスへ向けて、ストーリーが盛り上がってきているところです。

注目度ランキング~個人全体~

テクノロジーを用いて、テレビの「見られ方」(視聴態度)をリアルに計測しているTVISION INSIGHTS。日ごろからテレビやCMにまつわる話題が飛び交うだけに、社内にもドラマフリークがたくさんいます。

そこで、2022年冬ドラマ初回放送をテーマに、「ドラマをデータで読み解く座談会」を開催。その番組を注目度を利用して、「ドラマのほんとうの見られ方」を分析してみました!

 参加者プロフィール

荒/営業
ほぼ全作品見ているのでは、というほどあらゆるドラマをチェックしている。自他共に認めるドラマオタク。データに対してユーザー目線で解説。

佐野/広報
TVISION INSIGHTSの広報担当。自身も生粋のドラマ好きで、とくに韓流作品にハマっている。イチ押しは『スタートアップ』『ピノキオ』『椿の花咲く頃』など。

石川/司会 エディター
9歳からドラマオタクの道を爆進し、大学ではテレビドラマ研究を専攻。IT、マーケティング、作品分析と三分野からドラマを読み解くのが得意。いまは『カムカムエヴリバディ』の結末が気になっている。

コラムで使っている指標について

注目度とは、テレビの前にいる人がちゃんとテレビを見ている割合を測る指標を指します。
例えば注目度50%は、仮に100人がテレビの前にいたら、50人がちゃんとテレビを見ていたということを表します。
※初回放送のみ計測。

目次

「クセつよ」キャラがたまらない!NHK『しもべえ』が意外な人気

──2022年1月期は、とにかく『しもべえ』(NHK)です。

佐野:金曜日の「NHK ドラマ10」で放送されている安田顕さん主演の作品ですね。「女子高生が何気なくダウンロードしたアプリから、謎のおじさんが出てきて助けてくれるようになった」というかなりぶっ飛んだ設定のドラマです。

:ところが個人全体(全年齢層)だけでなく、男性、女性と性別ごとのランキングや、F2層のランキングでも上位に入ってきているんです。
※ランキングの表では、推定視聴率3%以上が対象なので掲載されていませんが、『しもべえ』は推定視聴率2.9%で、注目度では個人全体4位、女性4位、F2(女性35‐49歳)1位です。

佐野:大々的なプロモーションが行われていたわけでもなく、安田顕さん以外に超有名な俳優が出演しているというわけでもないように思います。

──なぜ『しもべえ』に注目する視聴者が集まったのでしょう。

:まず、安田顕さん演じる「しもべえ」のキャラクターですよね。何もしゃべらずにほぼ「変顔」に近い表情や、行動、しぐさだけで「何だかよくわからないけれど面白い人」を演じきっていて、「この人、何者?」と思わず画面を見てしまった視聴者が多そうです。

それから基本的に無言を貫くしもべえと、白石聖さん演じる主人公、ユリナのハイテンションや大きな声がメリハリになって、見る人の目を引いたんじゃないかと思います。

佐野:CMでも多いですよね。セリフや音楽が流れている間に、無音の瞬間が1、2秒あるとそこで注目度が上がる傾向にあります。音がなくなったときに、ぱっと顔をあげる人が多いんですよね。

:ということで実際に、『しもべえ』の初回注目度データを出してみました。

:放送開始から20分まで注目度が60%を超えるシーンが続きます。共通するのは、音の大きいシーンと静かなシーンのメリハリがわかりやすい瞬間だったり、次の展開が読めず視聴者が考えなければならないシーンだったりしたことです。最後に大きくデータが跳ね上がったところは、ユリナが「しもべえーー!」と大きな声で叫ぶシーンでした。

「低温タイプ」の主人公が今期のトレンド

──この傾向は、他のドラマでも共通しますか?

:まず、「クセつよ」キャラクターという点は共通しますね。『ミステリと言う勿れ』や『ドクターホワイト』『ゴシップ』『逃亡医F』『となりのチカラ』といずれも「はつらつとした明るいキャラクター」ではありません。どちらかというと自分のペースで物事を進め、淡々としゃべる「低温タイプ」な主人公。

その個性的なキャラクターが視聴者をひきつけたのではないかと思います。また、低温タイプなキャラクターは視聴者からすれば、「しっかり見ていなければストーリーに追いつけなくなってしまう」とか「急にドラマ全体が静かになった」などと感じ、画面に目を向けたのではないでしょうか。

それと「クセつよ」とはちょっと違う見方ですが、その俳優さんがよく演じる役とは方向の違うキャラクターを演じている作品も注目度が上がる傾向にある気がします。

佐野:テレビ朝日『となりのチカラ』の松本潤さんや、TBS『妻、小学生になる。』の吉田羊さんはそうですよね。松本さんはこれまで演じてきた「ヒーロー」のようなキャラクターではないですし、吉田羊さんは子どもに怒鳴ったり、やさぐれて攻撃的になったりすることもあるキャラクターとして描かれています。

──当然といえば当然ですが「明るくはつらつとしていること」「前向きであること」が、ドラマの登場人物として必須ではないということですよね。多様な人に光をあてているわけですね。

メリハリのきいた構成で全年代の注目を集めた『鎌倉殿の13人』

──1月にスタートした大河ドラマ『鎌倉殿の13人』も全年代の注目を集めていますね。

佐野:面白いですよね~、鎌倉時代という視聴者にとってそれほど馴染みのない時代設定のせいか、笑いの要素も多いですし、テンポ感がよくてついつい見ちゃいます。言葉遣いも、現代風なところもあって、見やすいです。

:初回の冒頭と最後で、馬に「姫」を乗せて平原を駆け抜けるシーンは凄かったですよね。音楽もダイナミックですし、その反面、屋敷で会話をするシーンは画面も暗めでおさえた声で話していて、やはりそのメリハリで注目度が上がったんじゃないかと思います。

──室内のシーンはおさえた声色の中にも笑えるセリフがたくさんあって見逃せないですし、一方で外のシーンは空撮も使って色鮮やかでまさに目が離せず、ずっと見てしまいました。

:同じような視聴者が多かったんじゃないかなと思います。TVISIONでは『鎌倉殿の13人』の視聴質を毎話分析しているので、そちらも見てみてください。
https://telescope.tvisioninsights.co.jp/summary-kamakura13/

佐野:小栗旬さんが主演ではあるものの、大泉洋さんが北条家を振り回す感じで思わず笑ってしまいました。舞台作品のようでもありますよね。

スタート前の番宣も注目度に影響?朝ドラキャスト&深夜枠も根強い人気

──その他に、ランキングを見て注目作はありますか?



:TBSの日曜劇場『DCU』、テレビ朝日『となりのチカラ』、フジテレビの『ミステリと言う勿れ』は比較的上位にランクインしていますが、この3作品はプロモーションやSNSでの告知が初回放送とうまく噛み合っていたように思います。

佐野:阿部寛さん主演の『DCU』は、昨年7月期に大きな話題になった『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』と同じく架空のチームの話です。DCUの舞台は海上保安庁。「手錠を持ったダイバー」ということで水中事件や事故の捜査を行うスペシャリスト集団設定が、放送前から話題になっていました。

:情報番組や改編期のスペシャル番組に積極的に登場していましたよね。『DCU』の場合は、インスタで「放送日まであと4日」というようにキャストがカウントダウンしていました。『となりのチカラ』も同様で、インスタで #チカラのカウントダウン というハッシュタグをつけ、松本潤さんの場面カットとともにカウントダウンをしていましたね。

視聴者からすると、「番組宣伝は当然やるものだろう」と思うかもしれませんが、大切なのは、多様な番組への出演やメディア露出とSNSでの告知を、初回放送時間にピークが来るように連動させて盛り上げること。

うまくプロモーションを盛り上げられたら、初回放送スタートの瞬間から高い注目度を集めることができると思います。

──深夜ドラマや、キャスティングが気になる作品はありますか?

:今回、視聴率が3%に満たなかったのでランキングに入れなかったのですが、テレビ東京の『シジュウカラ』が個人全体でも、属性別のランキングでもトップに食い込むほどの注目度だったんです。このドラマは、金曜0:12~とかなり遅い時間帯からの放送開始です。他にも土曜23:30の『鹿楓堂よついろ日和』も視聴率の関係からランキング入りはなりませんでしたが、注目度はかなり高くトップ3に食い込む勢いでした。

佐野:それでいうと、金曜23:15〜放送の『愛しい嘘〜優しい闇〜』は10位以内には入っていないものの、高い注目度ですよね。

年明け以降、新型コロナウイルスの感染状況が再拡大している影響から、金曜・土曜の週末の夜も在宅している視聴者が多いかもしれないですね。難しく考えず、リラックスしながら画面を見ていられるあらすじのわかりやすさや、深夜ならではのホラー要素や不倫、サスペンス的な展開が注目度の高さにつながったのかもしれません。

佐野:キャスティングで言えば、「朝ドラ出演者」が出ている作品は強いですね。

:『おかえりモネ』に出ていた清原果耶さん主演のフジテレビ『火曜ドラマ「ファイトソング」』はF1層のトップ、同じく永瀬廉さん主演のNHK『【土曜ドラマ】わげもん〜長崎通訳異聞〜』は女性全体のトップに入っています。『わろてんか』『おちょやん』に出ていた成田凌さん主演の『逃亡医F』も主に男性層を中心に人気です。

『逃亡医F』は、電子書籍サイトで原作を読んでいた男性ファンの注目度が集まったという見方もできるかもしれませんが、いずれにせよ、昨今好調の朝ドラに出演するということは一挙に全国的に有名な俳優になるということなのだと実感しますね。

── 3月末の最終回で、各ドラマの展開が気になりますね。放送終了後に、この注目度ランキングがどのように変化するのかについても、楽しみです!

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